「アイアムアヒーロー」第108話【ネタバレ注意】

今回も完全ネタバレ&ノーマスクですのでご注意願います。

さて、ファンサイト「アイアムアヒーローにまつわるエトセトラ」は、そもそも「早川比呂美ファンクラブ」とどちらのタイトルにするか迷ったというのは知る人ぞ知る、というか私しか知らない話ですが、そういうわけで久しぶりに比呂美視点に戻った今週号に感涙した次第です。

嬉しかったのは、比呂美の現実認識力がさらに回復をみせていたことです。




もう一年以上前になりますが(と書いてから気がついたのですが、現実世界のこの一年の間に、漫画内では一日しか経過していません)、サイトのFAQ(#65-1)に、「比呂美の意識が少しずつ回復し、周りの光景や、自分の置かれた状況を把握する力を徐々に回復して」いると書きました。

その後、比呂美は伊浦の凶弾、ではなく凶釘に倒れ、回復どころか、意識そのものを失ってしまいます。しかし頭部の外傷に対してはともかく、対ウイルスに対しては、比呂美の体内ではその後も順調に回復が進んでいました。

今週号の描写からは、現実認識力、というより交通事故の時などに使われるこの「意識レベル」でいうと、比呂美の意識はレベル一桁近くまで回復している印象です。

ここには、ZQNビューが見せる異様な光景と、フラッシュバックする回想、そして激しい頭痛。その中で必死に現在の自分の置かれている状況を把握しようとする比呂美の姿が描かれています。ちょうど深い眠りの最中にたたき起こされて、「ここはどこ?私は誰?」というのと似た状態にあるように見えます。

藪と英雄の姿は、比呂美のZQNビューにはまだ異形の姿に写っています。二人の姿、特に藪の姿がなぜこのようにメタモルフォーゼされているのかは大変興味深いのですが、これについては後でサイトの方に書きたいと思います。


比呂美の頭を次々によぎる回想の中に、重要な一コマが描かれています。感染直後の荒木の反応です(右図)。

この荒木の見せた反応は予想の通りと言えます。「空白の五日」で私は「この五日間は、比呂美発症の衝撃、発症した比呂美にどう対するかついての葛藤(英雄の内部での葛藤と、英雄と荒木との葛藤)、そして結論が出た後の発症した比呂美をどうコントロールし武器化するかというハイリスクな試行錯誤に追われ睡眠をとる余裕もなかった、というのが最もありそうなケースです」と書きました(画像は週刊スピリッツ2012年18号『アイアムアヒーロー』第108話)。


回想シーンの荒木の台詞は、この後、比呂美を(銃で)処分することを主張する荒木と、それを避けたい英雄との間に意見の対立が生じたことを強く示唆しています。

比呂美を武器化するという発案は、おそらく荒木ではなく英雄によるものでしょう。それは英雄の本意ではないでしょうが、荒木を説得し、比呂美を生かしておくための、ぎりぎりの妥協点として英雄が提案したものだと思われます。

その意味で英雄は比呂美にとって命の恩人です。意識を回復し比呂美がこの事情を把握すれば、英雄へお礼を伝えようとするかもしれません。



しかし、そのとき比呂美は、英雄に対してもう一つ、お礼をしたくなる出来事を思い出すはずです。英雄が比呂美を武器として発動するためのトリガーとして使った「フケ」の台詞。これは思春期の少女に対する言葉としては非道すぎます。たとえどう事情をくんでも、比呂美ちゃんも、早狩比呂美ファンクラブ会員の私も、この「フケ」の台詞だけは見逃すわけにはいきません。

比呂美には、この英雄の暴言に対してお礼するだけの権利が充分にあります。妥当なお礼としては、顔面パンチ一発、というところでしょうか(笑)。

そして本来の方のお礼は…



アイアムアヒーローにまつわるエトセトラもご覧ください。


※記事中で引用した画像は単行本・花沢健吾『アイアムアヒーロー』(小学館)、または週刊『スピリッツ』(同)より

(2012/04/07 01:22 投稿)