「アイアムアヒーロー」第54、57話【ネタバレ注意】
いつかサイトにまとめたいと思っていることですが、とりあえず覚書程度にメモしておきます。
比呂美が発症したのが2009年5月5日の朝。そして5月10日の正午過ぎ、寝袋にくるまれた姿で比呂美が再登場するまでの正味五日あまりの間に何があったのかは、第99話現在、作品中では描かれていません。
日付(2009年) | 時間 | 場所 | 出来事 |
5月04日(月) | 16:38 | 富士山須走口 五合目山荘茎屋 |
Youtube来栖動画(荒木の録画)視聴。 |
17時頃 | 「茎屋」に入る。酒盛り後の夜、車で就眠。 | ||
5月05日(火) | 早朝 | 同上 | 車中で比呂美発症。 |
5月06日(水)
| 5月09日(土) |
同上(?) | (?) | |
5月10日(日) | 12:30頃 | 箱根裏街道 (静岡県小山町須走字下原) |
一行がランドローバーに乗って登場。 |
13時頃 | 比呂美戦う。 |
今後作中で、回想の形ででも空白の五日間が描かれるのか、あるいはこのまま触れられずに終わるのかはわかりません。個人的には後者の方が美しいように感じます。
しかしここまでにも作中、いくつかのヒントは挿入されており、ある程度は富士五合目での出来事を想像することができます。重要な手掛かりの一つは、英雄がモールに到着し、与えられたテントに横になった時につぶやいたセリフです(6巻第67話191ページ)。
英雄は「まともに寝れたのが…地下道の中と富士山五合目の二日だけか…」とつぶやいています。
これは、富士急ローランド(ハイランド)横の地下道での、悪夢にうなされながらの睡眠が「まとも」に思えるほど、この五日間がろくな睡眠もとれない日々であったことを意味しています(セリフ中の「富士山五合目」の方は5月4日の夜)。
五日の間、英雄と荒木は決してえんえんと小田原評定をしていたわけではないということです。
一つの可能性は、ZQNの襲来によって睡眠をとる余裕もないほど切迫した状況が続いたというケースでしょう。しかし、発症前夜の山小屋とその近辺の様子からすると、この可能性は薄そうです。かりに襲来があったとしても、二人で立哨と睡眠を交代できる程度の余裕は持てたように思えます(荒木の「もう一人やってるし」のセリフは気になりますが)。
やはりこの五日間は、比呂美発症の衝撃、発症した比呂美にどう対するかついての葛藤(英雄の内部での葛藤と、英雄と荒木との葛藤)、そして結論が出た後の発症した比呂美をどうコントロールし武器化するかというハイリスクな試行錯誤に追われ、睡眠をとる余裕もなかった、というのが最もありそうなケースです。
なお、本稿で空白の五日間の間、英雄たちがずっと富士山五合目にいたことを前提に書いてるのは、再登場のかなり直前まで五合目にいたものと推測できるからです。
ひとつには再登場時に荒木がと英雄が語りあった内容であり、もう一つは、5月10日にランドローバーで再登場した地点と富士山五合目からの距離がきわめて近いことからです。「茎屋」(モデルは「菊屋」)から再登場の地点までは約13.1kmであり(下の地図の通り、ふじあざみラインの須走口からは約2km)、辺りを警戒しながら車を相当ゆっくり走らせたとしても、一時間程度で着く距離だからです。

google map (c)google
※記事中で引用した画像は単行本・花沢健吾『アイアムアヒーロー』(小学館)、または週刊『スピリッツ』(同)より
(2012/01/19 13:42 投稿)
99話で、藪のセリフは「ひろみちゃん」で、英雄のセリフでは「比呂美ちゃん」になっています。
同じ相手に対しても、認識の違いの隔たりを表現しているのかな、と思いました。
しかし、藪と英雄は今後一緒に行動するにあたって、隔たりを解消する必要があると思います。
なぜ比呂美が現在のような(半感染の)状態になっているのか?
近いうちに英雄の口から藪に語るかたちで、回想シーンがあるような気もします。