「白暮のクロニクル」第2話・3話【ネタバレ注意】
江口寿史先生の名作野球ギャグ>漫画『すすめ!!すすめパイレーツ』に、村田という元組員の男が登場します。特技は殺されてもすぐに生き返ることで、しまいには「あーよく死んだ」とカジュアルに生き返ったりします。どうも村田もオキナガ一族だったようです。
というわけで以下ネタバレとなりますので、未読の方はここでスキップをお願いします。
「殺人事件マニアの私設図書館司書」のオキナガ・雪村魁の年齢は88歳です。
「厚生労働省・夜間衛生管理課の新人」伏木あかりは、第一話で竹ノ内の閲覧したファイルによると、平成元年(1989年)8月8日の生まれの26歳。つまり作品内の「現在」は、2015年の8月8日以降です。
伏木あかりの上司、久保園さんが最初、魁の年齢を誤って89歳といったことから、おそらく魁の生まれた年は2015年から89を引いた1926年だと思われます。それに対して魁があわてて「まだ88だよ!!」と叫んだことから、魁の誕生日は1926年の8月8日以降、12月31日の間ということになります。
1926年は大正(1月1日-12月25日)と昭和(12月26日-12月31日)の境目となる年です。昭和元年は年の瀬のわずか6日間しかありませんでしたが、ヒロインが平成元年の生まれであり、ヒーロー・ヒロインの対称性から考えると魁も昭和元年、つまり1926年の12月25日から31日の間の生まれの可能性が高いと思います。
前回第1話の記事でオキナガの歳の取り方についての疑問を書きました。
- 普通の人より身体の成長が遅いというケース。魁の場合、身体年齢(18)/戸籍年齢(88)で1/5の成長速度となる。
- ある年齢(またはある条件)でオキナガが発現する(身体の成長が止まる)ケース。
第2話、第3話を読んだ範囲では、どうやらこのうちの2、つまりある年齢(または条件)で「オキナガ」が発現する、ということのようです。
根拠の一は、魁の傷が「戦場(沖縄戦)で受けた傷でしょう」という久保園さんの証言です。
沖縄戦のあったのは1945年(昭和20年)です。魁が19歳のときです。成長速度が通常の1/5あれば、魁の身体年齢はこのとき4歳前後ということになります。久保園さんの話しぶりからは、魁は戦争に巻き込まれた一般市民ではなく、兵士として参加していたと思われますので、おそらくこの時点で魁は、年齢相当の外見だったと判断できます。
根拠の二は、魁の傷自体です。解剖されてもなお蘇生の可能性を疑われるほどの治癒力・再生力のあるオキナガであるのに、戦場で受けた傷がこれほど派手に残っているということは、これは魁のオキナガが発現する前に受けた傷である可能性が高いと思われます。もしかすると、その負傷・もしくは負傷を追ったシチュエーションによってオキナガが発現したのかもしれません。
根拠の三は、「オキナガ連続殺人事件」の第一の被害者の埋身慎吾(うずみしんご)です。彼の殺されたときの戸籍年齢は37歳、もし成長速度が1/5であれば、殺されたときの身体年齢は小学校低学年ということになりますが、彼のプロフィール写真は、37歳にしては若すぎる(20歳前後にも見える)ものの、どうみても大人です。「住む場所を転々と変える」オキナガであれば戸籍年齢を詐称している可能性もありますが、彼もおそらく厚生労働省の保護監視対象であったでしょうから、これも難しいでしょう。
オキナガが一定の年齢で発現するのか、一定の条件で発現するのかはまだ断言できませんが、ヒロインあかり(26歳)の発現の可能性を残すとすれば、後者である必要があります。
次に、連載三回目にして色んな系列の「殺人事件」が登場していますので、少し整理しておきます。
※記事中で引用した画像は単行本・花沢健吾『アイアムアヒーロー』(小学館)、または週刊『スピリッツ』(同)より
(2013/09/10 08:22 投稿)
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