「アイアムアヒーロー」第136話・138話【ネタバレ注意】

会社を辞めたり新しい仕事の準備をしたりとここのところ超多忙で、ブログの更新もままならない状況です。もうすぐアイアムアヒーローの11巻がでますが、私はと言うと最近は連載を追うのもやっと。サイト(「アイアムアヒーローにまつわるエトセトラ」)の再開、というか、2.0のリリースは無期延期です。サーセン




さて、久しぶりに連載についての記事。完全ネタバレですので、未読の方、単行本の方はここでスキップをお願いします。

しばらくは彼を中心に話しが進むと思っていた引きこもりの江崎崇(たかし)。彼の予想外に早い退場(136話)と復活(138話)には意表を突かれました。

さらに意表を突かれたのが、崇を助けるかと思いきや、ZQNに襲われる崇を笑って眺めていた来栖。空蝉と冥界のはざまに立つ来栖には、ZQN 化する崇は彼岸に行ってしまう相手なのではなく、むしろ「おいでおいで」をする立ち位置なのでしょう。

タイトルに涅槃の待ち人と書きましたが、実際来栖は、猛るのでもなく沈むのでもなく、(そうは見えませんが)一番悟りの境地に近い感染者に見えます。

そして今週138話のラストで静かに復活した崇。彼が今後どのような行動を取るかはわかりませんが、私にはそれが、てっこ、紗衣、カオリそれぞれの最期の系列に連なるエピソードになるような気がします。

アイアムアヒーローには、大きなものから小さなものまで、いくつかのテーマがさまざまに変奏されながら何度も繰り返し登場してきます。

大きなものでは、「コミュニケーションへの絶望と渇望」「死者(ZQN)と生者の境界とは何か」、そして、てっこ、紗衣、カオリに連なる「死者(ZQN)から生者へ発せられる強烈なメッセージ」などで、それは作品の中核となっているテーマです。

小さいものでは、「近い近い」のテーマなんてのもありますね。比呂美と英雄との間で三回登場したテーマですが、左は、「近い近い」の藪バージョン。

てっこ、紗衣、カオリのエピソードに共通するのは、それぞれ英雄、比呂美、カズに伝えようとして伝えられなかった想いを、コミュニケーション不能になりながら、なんとか伝えようとする強い意志でした。

同時に共通するのは、一般ZQNであれば見られる攻撃の抑制です。もしくは攻撃衝動との戦いです。てっこはそのために自らの歯を抜き、紗衣は、おそらくは自分で顔に包帯を巻きました。

カオリの場合は、発症後初めて母性やカズに対する純愛を露呈しました。よくある純愛に見せかけた打算愛ではなく、打算愛に見せかけた純愛だったわけです。

もし崇の復活が、このテーマの新たな変奏であるならば、崇はどのようなメッセージを携えて行動するのでしょうか?続きは二週間の休載を挟んで3月11日月曜日発売のスピリッツ第15号。

※記事中で引用した画像は単行本・花沢健吾『アイアムアヒーロー』(小学館)、または週刊『スピリッツ』(同)より

(2013/02/25 20:30 投稿)